『ワイルドサイドほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』の感想と考察|政治と生活と海外を混ぜたエッセイって面白いんだなあ
章題の通り。EU離脱など、いろいろな社会的問題を抱えた英国における、労働者階級の人々の生活を、筆者独自の目線から語ったもの。
お国は違えども、隠れた階級社会であることや、世代間の争いがあることなどは、日本に似ている。ただし、日本と違って、政治や社会について、ひとりひとりがきちんと問題意識をもっているのが面白い。(だからこそ、世代間の争いの火種が増えているようにみえる)
労働者階級の人たちは、粗野で無教養というイメージがつきまとうが、みなやさしさと信念をもった人間なんだということがうかがえて、どこかほっこりする。その人のキャラクターを、筆者独自の観察眼で掘り下げられていて、すごい。
それでいて、政治が絡むからか、シリアスな感じもある。この作者ならではの作風なんだろうなと思う。
というか、政治×生活×海外なんてテーマで書ける人がそもそも少ない。
創作研究という観点から見ると、あまり見ない破天荒なおっさんたちがたくさん登場するので、参考になりそう。