最近買った本の紹介と記録|『revisions 時間SFアンソロジー』『NOVA 2019年春号』『最高の雑談術』
目次
- 前置き:積読対策にメモをとるぞ、という話
- 『revisions 時間SFアンソロジー』大森望・編 ハヤカワ文庫
- 『NOVA 2019年春号』大森望 責任編集 河出文庫
- 外山滋比古『最高の雑談術』扶桑社文庫
前置き:積読対策にメモをとるぞ、という話
積読という言葉がある。買う速度が読む速度を超えることで未読の本が累積していくことを指し、巷では「本の塔は存在するだけで精気を養う」というパワースポットのような効果がささやかれている。
私の場合、読み切る前に他の本をちょっとつまみ、また別のをつまみとしていしまうので、いわば「半読」の状態の本が積まれている。
そして、つまみ食いから戻ってきたころには、読んだところまで何が書いていたか忘れてしまい、結局ほったらかしにしてしまう。もう、長編は読み切るのが困難で、短編集ばかりを選んでいる。新書の類も、前までの流れが分からないと大変なのは、長編小説と変わらない。こうして中途半端に読まれた本は積みあがっていく。
完全に未読の本も多い。興味があって買ったのは間違いないが、そのとき、何に惹かれて買ったのかも、おぼろげになる。
それを防ぐためには、読んだところまでのメモ、何を思って購入したのかのメモを定期的にして、バックアップを作っておくのが良いのではないかと思い、書いてみることにした。
そんなことするぐらいなら一気に読んでしまった方が楽じゃん、と思われる方もいるかもしれない。まったくもってその通りだと思う。飽きてやめてしまうのが関の山だと思うけれど、まあ物は試しだから。
前置きが長くなりました。
『revisions 時間SFアンソロジー』大森望・編 ハヤカワ文庫
「時間」をテーマにしたSF作品が6作載ったアンソロジー。時間系SFは名作が多いと言われます。バタフライ・エフェクトとかシュタゲとか。「妙技」といわざるを得ない、巧みな伏線回収が可能なのがこのジャンルだと思います。
そういう意味で、『TIME』という映画にはすごくがっかりした思い出があります。巧い!とうならせてほしいという期待を持つから、自然とハードルが上がってしまうとも言える。TIMEは超えてこなかったなあ。
とりあえず『退屈の檻』を読みました。エンドレスエイトみたいな時間ループものなんですが、ループする時間がなんと10分だけ。時間の繰り返しがもたらす最大の問題はなにか?というアイデアで書かれた短編。時間系と短編は親和性が高いなあ、と思いました。火星人が出てくるあたりは古臭い。でも、面白かった。どうやらハードルを越えてきてくれそうである。他の編にも期待しています。
そういえば、『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』も途中までだった。ずっとウェルズの『タイムマシン』の話をしているから、ちょっと飽きちゃったんですよねえ。
『NOVA 2019年春号』大森望 責任編集 河出文庫
こちらもSF短編集。じわじわとブームが来てるのかな? SFだからハヤカワだろうとおもって探したんだけれど、調べたら河出だった。
宮部みゆきなど、名だたる作家が名を連ねているので、書影が出たときから気になっていました。
新井素子『やおよろず神様承ります』と小川哲『七十人の翻訳者たち』を読みました。どっちも面白かったけど、とくに後者が好きです。聖書を題材とした歴史小説的でありながら、ちゃんとSFしている。たしかにあったかもしれないと思わせられる筆致に、ワクワクしました。前者は鬱憤のたまった主婦が変な宗教によって良いほうに向かう話なんですけど、あんまりSFらしくはなかった。ある意味で童話的。嫌いではない。
小川哲は『ゲームの王国』が話題になった作家で、気にはなっていましたが、『七十人の翻訳者たち』が面白かったので、またこちらも読んでみたいなあ。
赤野工作という作家の作品が一番オモロイと巷ではささやかれているので、期待しています。
外山滋比古『最高の雑談術』扶桑社文庫
乱談のセレンディピティという副題?がついています。前著の乱読のセレンディピティが結構ツボだったので、続編ということで買いました。
セレンディピティは偶然性というような意味合いで、ペニシリンの発見がまさにそれにあたるとのこと。関係ないと思っていたもの同士がたまたま結びつくところに発見があり、それを起こすためにはたくさん読むという行為が必要になる。
しかし、読むだけではセレンディピティが起こりにくいんじゃないか、と考え、出てきたのが乱談であるという。
「アイデアは既存の組み合わせ」ということを踏まえてこのブログを運営している私としては、見過ごすわけにはいかない内容だとおもうので、ぼちぼち読んでいきたいと思います。
参考↓