読書の実況中継② 名倉編『異セカイ系』
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さて、読み終わった感想をば、致します。
後半戦も、メタ的技巧が山盛りで、お腹一杯を通り過ぎてアレでした。
というのも、クライマックスの解決篇で、もはや論理学、みたいな説明があったからです。
世界Aとかなんとか。確率がどうこうとか。
まあ、そこは考えるのしんどかったので「ふーんそうなんだ」で済ませてしまいました。だから、解釈が誤ってる可能性があります。すいません。
前にも言ったけど、この作品は何より、メタを使ってのどんでん返しが面白い。
前半で、散々メタで驚かされたんですけれど、後半にかけてもびっくりが続きました。
太字に、強調以外の意味を持たせるなんて発想はどこから生まれるのか。
ハーレムエンドの欺瞞に対して、あんなメタの使い方で解答するって、どんな発想やねん、と。
小説世界を、時空間まで含めて、縦横無尽に行き来する手管に脱帽です。
途中で気になってた、主人公がキャラクターに対して優しすぎるというか、葛藤もなく救おうとすることに葛藤がない理由については、最後のキャラクターシートで回収されているという認識でいいのだろうか。
やさしいと設定されたから、やさしい。そうしたら、他の登場人物まで優しいのがおかしくなる。いや、他のキャラクターも、優しいように設定されているとすれば、おかしくないのかな。他のキャラクターすら、一つになる勢いである。書いたことが現実世界すら巻き込んで現実になる世界なんだから、どうとでもなるんだろう。書かれていない余白にも、物語はあるのだから。
そうなると、無制限に世界を取り込むことになるので、世界線を分けることで世界を閉じました、という感じかな。わからんけど。
どんな無理な設定にしても、そういう設定なんやでってことにしたら、メタ的技巧の範疇に収まるから、その辺は設定がうまいってことでしょうね。
今までに読んだことのない小説という点では、これに勝るものはあんまりないんじゃないでしょうか。
近いのが、筒井康隆の『残像に口紅を』かな。こっちは、あまりに同じ展開が続くので途中で読むのやめたんですけども。
とにかく、『異セカイ系』、面白かったです。オススメします。