創作のための映画と読書まとめ

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『エクソシスト』の感想と考察|ホラー映画の雛形となった画期的な作品

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ホラー映画史上、初の大ヒットとなった本作。

 

ホラー映画で初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされた作品でもある。

 

公開当時、観客は長蛇の列を作っていたらしい。

 

この作品を見れば、当時の人気ぶりにきっと納得するだろう。 

 

その恐怖の魅力は、今なお廃れず、現在へと受け継がれている。

 

本作のストーリーを追ったあと、この作品の魅力がどこにあるのか、考察したい。

 

ネタバレを多く含むので、未視聴の方は、まず見てみることをオススメします。

 

 

 

 

 

ストーリー

 

序:満な家庭と予兆

 

イラクでの発掘現場で、年老いた神父・メリンは、コインと、悪魔の像を発掘する。

 

これらのアイテムについて、劇中では特に解説はなされない。原作を読めば分かるらしい。

 

野犬が吠える中、悪魔の像(発掘した物とは別)と対峙するメリン神父。

 

これからの戦いを暗示させるシーンである。

 

場面が変わり、本作の被害者たち、大女優クリス・マクニールと、その娘リーガン・マクニールの、円満な家庭が描かれる。

 

娘のリーガンは明るく、活発な少女。親子の仲も良い。

 

平凡で幸福な家庭が描写される。

 

これにより、後のリーガンの変貌ぶりと、クリスの悲嘆がより強調されることになる。

 

後にキーパーソンとなる、カラス神父の苦悩も併せて描写されている。

 

 

破:魔にとり憑かれた少女

 

リーガンの変化は少しずつ現れた。

 

物音がする、ベッドが揺れる、と訴え始める。

 

決定的だったのが、ホームパーティー中に「宇宙で死ぬわ」とつぶやいて放尿したこと。

 

その後、医者に何度もかかるが、原因は分からない。

 

原因は分からないが、精神病であるとしか言いようがない。

 

解決の手立てがないまま、異変はエスカレートしていく。

 

12歳とは思えないほど卑猥な暴言を吐く。

 

「ママ助けて!」と、血を吐きながらブリッジで階段を駆け下りてくる。ここが一番怖い

 

頭を振り乱しながらベッドに体を打ち付ける

 

ベッドが振動し続ける

 

明らかに、精神病というだけで片付けられない現象だった。

 

しかし、医者はなにもできない。

 

疲弊しきったクリスは、悪魔祓い(エクソシスト)に依頼することにする。

 

依頼されたのは、元精神学者で、母に先立たれたばかりのカラス神父だった。

 

 

急:魔とふたりの神父の戦い

 

悪魔祓いに乗り気でなかったカラス神父だが、クリスの懇願と、リーガンの異常性を見て承諾する。

 

ひとりでは荷が重いということで、一番初めに登場した老神父メリンが招集された。

 

壮絶な戦いが始まった。

 

神の言葉と聖水で悪魔を攻撃する神父たちと、言葉による精神攻撃で対抗する悪魔。

 

最後は、メリン神父が死に、カラス神父が悪魔を体内に取り入れ、窓から投身して道連れにした。

 

作品の見どころ

 

見どころ1 を恐怖させるアイデア

 

リーガンの悪魔に憑かれてからの、異常な行動の数々に恐怖せざるを得ない。

 

首が180度回ったり、ポルターガイスト的に物が飛んだり、緑の液体(ゲロ?)を吐いたりするのは、もはや新しさはないのだが、怖いものは怖い。

 

ベッドの上でヘドバンしてるみたいに体が打ちつけられたりするのも怖い。

 

腹にミミズ腫れみたいに「HELP ME」と浮き上がってくるのも怖い。

 

みるみる衰弱して、最後は本物の悪魔同然の顔つきになるリーガンも怖い。

 

ブリッジで階段を駆け下りるシーンは、ホラー映画屈指の名場面だろう。(どうやったらそんなの思いつくの?)

 

明らかに異常なのに手の施しようがなく、医者が匙を投げて、母親もどうすることもできないという状況も怖い。

 

あと、検査のために首から注射したりするシーンも怖かった。

 

とにかく、ドン引きするレベルの、人を恐怖させるアイデアが散りばめられている。

 

これらがもし、悪魔の仕業じゃなかったら、と考えると、なおさら怖い。(実際、悪魔憑きみたいな症状の出る病気が存在するらしい。)

 

見どころ2 魔祓いの場面

 

最後の、悪魔祓いのシーンもおもしろい。

 

物理的な攻撃で血が流れるということはないのに、緊迫感がある。

 

ふたりの神父の、精神的にどんどん弱っていく感じが、まさしく「悪魔との戦い」といった様相である。

 

リーガン(悪魔)のいる部屋だけ、吐く息が白いのも、臨場感に一役買っている。

 

全体的に、ホラー演出のための小道具使いが巧みなのだ。

 

総評

 

親子が、得体の知れない悪魔に、何度も痛めつけられ、疲弊していく緊迫感。

 

また、頼りないカラス神父と、頼りがいしかないけどヨボヨボのメリン神父が、悪魔と戦う場面の臨場感。

 

ホラー映画の一つのひな型として完成されている、と言えるだろう。

 

特に、悪魔に憑かれていることを示す数々のアイデアに圧倒される。

 

少女が卑猥なことを叫びながら股に十字架突き立てるなどは、並みの発想じゃ出てこない。

 

 

教訓

  • 非力な家庭が、超常のものに痛めつけられ、犠牲を出しながらも解決するという、ホラーの定型。
  • 子供が超常のパワーを持っていると、怖い。
  • ありえない方向にねじ曲がった人体は、怖い。

 

最後に、「実は、悪魔は死んでいなかった」というオチじゃなくてよかった。

それこそ、ホラーのお約束みたいなものだけど、そうじゃなかった。

2があるから、そこで「実は」ってなるのかもしれない。

 

あと、怖い場面でテレビでよく流れるBGMが、エクソシストのテーマ曲だってことを初めて知った。

気になった方は「エクソシスト テーマ曲」で検索してください。