さくらももこさんの訃報について思うこと、思い出したこと。
さくらももこさんが乳がんで亡くなった、という知らせが、世間を賑わせています。
その反応の大きさから、さくらももこさんの作品が、どれだけ愛されていたかわかります。
私は『ちびまる子ちゃん』の原作を読んだことがありません。
アニメに関しては、たまにアニマックスで古いのをやっていたのを何回かみたことがある程度です。
リアルタイムで見ていたこともありません。日曜でしたっけ。犬夜叉やハム太郎は毎週見ていたんですけどね。懐かしいなあ。
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そんな私ですが、さくらももこさんの作品で二つ、所有しているものがあります。
それが『永沢君』と DVDの『ちびまる子ちゃん全集1992「永沢くんの家、火事になる」の巻』です。
これは私が高校生の時に、友人から誕生日プレゼントとしてもらったものです。
DVDはまだ封がしてあって、ほこりを被ってました。
私の友人はすごくセンスがあって、他に藤子・F・不二雄の異色短編集をくれたこともあります。
手塚治虫を読んでみよう、となったきっかけでもあります。
私の世界をぐっと広げてくれた作品です。おすすめします。
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話を戻します。
その友人は「この永沢君ってお前みたいやで」と言って渡してきました。
私は、「いや君の方が永沢くんに近いで」と思っていました。
永沢君は皮肉屋で、穿った物の見方をするんです。
それってセンスがないとできませんよね。
永沢くんはアホだけど、抜群のセンスを持ってます。
そして、謎の行動力も併せ持っています。
ヤンキーにあこがれてパーマをあててみるとか。
そのくせ、自分が一番先にやめてしまうんですよね。
そのあたりが友人と似ている。
センスがあるという点と、 思いついたしょうもないことをやってみる、というところが似てます。
そういえば、友人が「映画作ってみよう」って言い出したことがありました。
色々準備しました。脚本を書いたり、衣装を買ってきたり。
結局、音声がうまくとれなくて、ワンシーンも撮れずに終わっちゃいました。
私はどちらかと言うと藤木くんに似ていると思います。すごく卑屈です。
基本はいい人なんですけど、土壇場では卑怯だったり。そういうところも似てるかな。
さくらももこさんの描くキャラクターは個性的という点において唯一無二であると思います。
しかも、そんな個性的なメンバーがたくさん出てくるので、そのやり取りも唯一無二なのです。
それでも、あたりを見回してみると、さくらももこワールドの住人と似たような人がいるんですよね。
それだけ、人間観察力がすごいということなんだと思います。
こと『永沢君』においては、人間のディープなところを描き切った感じが、たまらなく面白い。
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報道を見ていると、ちびまる子ちゃんは家族のほのぼのを描いた作品といってました。
私の中で、その家族愛路線になったのって、最近のこと(ドラマ化したあたり)だと思うんですが、どうなんでしょう。
もちろん、そういう話が全くない、ということではなくて。
のび太君みたいに、まるちゃんが小ズルいことやって失敗する、という話が典型だと思っていたんですが。
それで、たまに感動路線の話もあるという具合で、あくまでもメインはコメディの方ではないか、と。
ツイッターとか見てると、感動系の話ばっかりなんですよね。私のちびまる子ちゃん観がおかしいのか。
まあ、ちびまる子ちゃんエアプの私はあまり深くつっこみません。
間違ってたら訂正しますので、教えてください。
ただ、あの報道の仕方では、『永沢君』に描かれた、人間が持つ奥深いところに手を突っ込んで暴き出したような、ブラックで皮肉っぽい面白さ、という魅力が捨象されているのではないかな、と。
「個性的」という言葉で済ませてしまうと、さくらももこさんの持つ人間観・世界観のおもしろさが薄れてしまうんじゃないかなあ、と思いました。
うちの母が早速、さくらももこさんのエッセイを3冊買ってきたので読んでみたいと思います。
その前に、DVDの包装をはがすところからかな……ここまで来たら、開けずにとっておくのも一考ですね。
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以上、さくらももこさんの訃報に際して思ったことでした。
さくらももこさんのご冥福をお祈り申し上げます。