創作のための映画と読書まとめ

当ブログは「良き創作は良き鑑賞から」をモットーに、鑑賞した映画と本についてまとめておく目的で設立されました。同志よ集え!

名作映画レビュー 『グリース』

テーマをずばり言ってしまうと「伝統の破壊」でしょうか。

 

 

 

海岸でアベック(あえて古い言い方をする)がイチャイチャしながら、「もうオーストラリアに帰らないと。もう会えないのね」「なあにこれが思い出さ」ブチューというやりとりをするラブシーンから始まる。なんならここで終わって、やっぱり帰らない!愛に生きるわ!ハッピーエンド!でもいいわけです。伝統的ラブストーリーであれば。

 

 

しかし、本作は「伝統の破壊」がテーマですので、ここからラブラブだった夏のひとときをぶち壊します。なんとこのふたり18歳の高校生、夏休みにたまたま出会って付き合ってたんですな。(なんと、って言ったのは、二人ともちょっと老け顔で学生に見えなかったからです)

 

 

で、日常に戻ってくる。男はさわやか紳士のイケメンかとおもいきや、チームの革ジャンを着て頭をリーゼントにするヤンキー。さっそく女の子を口説いてる。

 

 

オーストラリアに帰った女のほうは、予定変更して男のいる学校へ転校してくる。こちらはイメージ通りのお上品なお嬢様。そして新しくできた友達にロマンチックで紳士な男の思い出を語るわけです。聞いてる友達はへーめっちゃいいじゃん!会えるといいわね!みたいになるわけですが、男の名前を聞いて大爆笑。だってヤンキーだもんそいつ。ナンパ野郎ですもん。聞いてた男のイメージ図と違いすぎる。「また会えるといいわねプークスクス」

 

 

そして、実際にすぐ会います。女は感動の再会!と喜ぶ。男も内心喜ぶんですけど、仲間の手前意地を張って、俺はふたりいるんだ、もう一人の俺は求人雑誌ででも探してくれ、とつっぱてしまう。こうして恋と友情の板挟みで物語は揺れ動いていくわけです。

 

 

そこから若者文化の中で物語が進行していく。車、タバコ、酒、セックス、ダンスパーティ、などなど。ロマンチックさなどない、若者のリアルを描き出している。

 

 

ヒョロ眼鏡がからかわれたり、アメフトの応援でめちゃくちゃ盛り上がっていたり、デートの場所がドライブインだったり、アメリカンハイスクールのテンプレがちりばめられている。もはやステレオタイプと言っていいかもしれない。

 

 

そして恋愛が成就する最後の場面、めちゃくちゃ衝撃的でした。えー!そんな解決策?これが当時の若者文化か、と思いました。恋と友情?そんなのどっちも最高じゃん!ハッハッハー!ハッピーエンド。これが若者の力か……

 

 

 

この映画の見どころとして音楽があげられるでしょう。ミュージカル映画なので登場人物がめちゃくちゃ歌うんですが、どれもいい曲。ノリノリになれます。多少話の展開に疑問符がついても、音楽を聴けばどうでもよくなる

 

 

特にオープニングがいい。オープニングがこの映画のすべてを象徴してくれていました。「伝統なんて古いだけ」「老人なんて気にするな」(余談。朝十時の映画祭で見たんですけど、この時間にこんな古い映画を見に来るのなんて老人しかいないんですよ。なのにいきなり「老人なんて」って笑 ちょっと周りを見渡してしまいましたね。でもこの映画上映当時は、みんな若かったんですよね……)

 

 

ラストシーンの衝撃といい曲のために、一見の価値ありです。

 

 

グリース (字幕版)

グリース (字幕版)

 

 

 

 

 

このパッケージの絵、さりげなくネタバレしてますね