『ガラスの花と壊す世界』の感想と考察| 設定のバーゲンセール!
Amazonプライムにあったアニメ映画、『ガラスの花と壊す世界』。
絵が「なのは」っぽくて、いいじゃん、と思ったので見てみた。
あらすじと解説を行い、最後に感想を述べる。
これ以降、ネタバレを含みます。
「見たけど分かりにくかった」という方は、私とその思いを共有しましょう。
これから見に行く方は、本記事を読んで、「へー、分かりにくいんだ」と思ってもらえれば幸いです。
序:世界観の説明
舞台はプログラムの世界。
「ViOS」というOS上で動く、「知識の箱」という名の世界だ。
「知識の箱」に、人間世界のバックアップを蓄えているのが、地球保全システム「マザー」である。
「知識の箱」内にはウイルスが発生し、バックアップされた世界が汚染される。
その汚染された世界ごと、ウイルスを消去するのが、二人のアンチウイルスソフトである「デュアル」と「ドロシー」。
このうちの「デュアル」(黒髪ロングの子)が、実質的な主人公である。
……と、ここまでが序盤で、一息の間に説明される。
プログラミングの知識がない私は、この時点でちょっとしんどかったが、
「進撃の巨人」をイメージすれば大体合ってるのかなあ、という感じがする。
・外の世界が謎として存在する。
・なぜかウイルスが発生するので、アンチウイルスソフトである二人が、世界を守っている。
・定期的に更新データが送られてくるので、人間の存在証明はされている。
やはり流行なのか、「世界」を謎としておく形。
これが第一の謎として設定される。
なお、公式ホームページには「人類は滅亡した」とはっきり書いてある。あれ?
破:リモという少女
第三の登場人物
本作における謎2、突然現れた記憶喪失の少女、「リモ」。
ウイルスではないことは分かるのだが、その正体ははっきりしない。
手掛かりは、唯一記憶に残っていた、ガラスの花である。
ガラスの花とは、何を意味するのか。
リモの正体を探るために、三人はバックアップされた世界を旅して回る。
世界の集積
世界のバックアップは、美しいものばかりである。
人類の文化の、光の当たる部分を回想する。
そこへ、サブリミナル的に表示されるのが戦争、災害、きのこ雲。
人類は滅亡しているんだろうなあ、と、薄々感じさせる表現である。
急:世界の正体、リモの正体
人類は滅んでいた。
「マザー」という地球保全プログラムが、ゆるやかに人類を抹消していったからだ。
しかし、最後に人類は抵抗した。「マザー」と刺し違える形で、どちらも滅んだ。
残ったのは「知識の箱」と、「マザー」の残滓である。
「マザー」は、「知識の箱」から、理想の人類を作り出そうとしていた。
リモの記憶にあった「ガラスの花」とは、世界の美しい部分の集積だった。
リモは、「マザー」そのものだったのだ。
ウイルスは、「マザー」から「ガラスの花」を取り戻すための存在だった。
だから、「知識の箱」という世界にとって、ウイルスは「マザー」のほうだった。
「マザー」は、アンチウイルスソフトに、花を取り戻そうとする存在を「ウイルス」だと誤認させ、自分を守っていた。
更新プログラムを送っていたのは人類ではなく、「マザー」だったのだ。
総評
はじめの世界の解説もそうだが、最後の世界の説明もまた、一気に行われる。
視聴者に読解力を求めすぎているため、いまいち集中できない。
しかも、これくらいの設定は、いまや、ありふれている。
コンピュータに世界を管理させて、人類が何度滅んだことか。
あと見どころとしては、キャラがかわいいとか、戦闘シーンがわりとエグイとか。
だが、これも「まどか☆マギカ」の後追いでしかない。
1時間に詰め込みすぎた感じが否めない。
しかも、今回の記事には、まだ説明をはしょった箇所がある。
リモは、「マザー」だとか「ViOS」だとかを生み出した人たちの孫?として描写される。
それは、実際に血縁があるのか、それともプログラム開発者であるという表現なのか。
その開発者は、実は序盤でデュアルに消された世界にいた人物だとか、とにかくごちゃごちゃしている。
だから、タイトルに「設定のバーゲンセール」、というキャッチコピーを入れてみた。
設定が詰め込まれているのが悪いというより、一気に説明しすぎなのが問題だと思う。
結末もよくわからない。世界を守るためにリモがなにかをした、という程度しかわからなかった。
初見で全部理解できる人いるのかな。
これくらい設定を詰め込むくらいなら、いっそ説明しなければいいのに、と思う。
どれだけ難解やねん、と思った方は、ぜひ一度「挑戦」してみてほしい。
教訓:設定は詰め込みすぎない、一気に説明しない。
あと、やはりアイデアは既存の物事の組み合わせだ、ということの再認識。
進撃の巨人に代表される「世界の謎系」×「プログラミング」。