創作のための映画と読書まとめ

当ブログは「良き創作は良き鑑賞から」をモットーに、鑑賞した映画と本についてまとめておく目的で設立されました。同志よ集え!

『ガラスの花と壊す世界』の感想と考察| 設定のバーゲンセール!

f:id:landmarks:20180904184120p:plain

 

Amazonプライムにあったアニメ映画、『ガラスの花と壊す世界』。

 

絵が「なのは」っぽくて、いいじゃん、と思ったので見てみた。

 

あらすじと解説を行い、最後に感想を述べる。

 

これ以降、ネタバレを含みます。

 

「見たけど分かりにくかった」という方は、私とその思いを共有しましょう。

 

これから見に行く方は、本記事を読んで、「へー、分かりにくいんだ」と思ってもらえれば幸いです。

 

 

 

 

 

序:世界観の説明

 

舞台はプログラムの世界

 

「ViOS」というOS上で動く、「知識の箱」という名の世界だ。

 

「知識の箱」に、人間世界のバックアップを蓄えているのが、地球保全システム「マザー」である。

 

「知識の箱」内にはウイルスが発生し、バックアップされた世界が汚染される。

 

その汚染された世界ごと、ウイルスを消去するのが、二人のアンチウイルスソフトである「デュアル」と「ドロシー」。

 

 このうちの「デュアル」(黒髪ロングの子)が、実質的な主人公である。

 

……と、ここまでが序盤で、一息の間に説明される。

 

プログラミングの知識がない私は、この時点でちょっとしんどかったが、

 

「進撃の巨人」をイメージすれば大体合ってるのかなあ、という感じがする。

 

・外の世界が謎として存在する。

 

・なぜかウイルスが発生するので、アンチウイルスソフトである二人が、世界を守っている

 

・定期的に更新データが送られてくるので、人間の存在証明はされている

 

やはり流行なのか、「世界」を謎としておく形。

 

これが第一の謎として設定される。

 

なお、公式ホームページには「人類は滅亡した」とはっきり書いてある。あれ?

 

 

破:リモという少女

 

第三の登場人物

 

本作における謎2、突然現れた記憶喪失の少女、「リモ」。

 

ウイルスではないことは分かるのだが、その正体ははっきりしない。

 

手掛かりは、唯一記憶に残っていた、ガラスの花である。

 

ガラスの花とは、何を意味するのか。

 

リモの正体を探るために、三人はバックアップされた世界を旅して回る。

 

世界の集積

 

世界のバックアップは、美しいものばかりである。

人類の文化の、光の当たる部分を回想する。

 

そこへ、サブリミナル的に表示されるのが戦争、災害、きのこ雲。

 

人類は滅亡しているんだろうなあ、と、薄々感じさせる表現である。

 

急:世界の正体、リモの正体

 

人類は滅んでいた

「マザー」という地球保全プログラムが、ゆるやかに人類を抹消していったからだ。

 

しかし、最後に人類は抵抗した。「マザー」と刺し違える形で、どちらも滅んだ

 

残ったのは「知識の箱」と、「マザー」の残滓である。

 

「マザー」は、「知識の箱」から、理想の人類を作り出そうとしていた。

 

リモの記憶にあった「ガラスの花」とは、世界の美しい部分の集積だった。

 

リモは、「マザー」そのものだったのだ。

 

ウイルスは、「マザー」から「ガラスの花」を取り戻すための存在だった。

 

だから、「知識の箱」という世界にとって、ウイルスは「マザー」のほうだった。

 

「マザー」は、アンチウイルスソフトに、花を取り戻そうとする存在を「ウイルス」だと誤認させ、自分を守っていた

 

更新プログラムを送っていたのは人類ではなく、「マザー」だったのだ。

 

 

 

総評

 

はじめの世界の解説もそうだが、最後の世界の説明もまた、一気に行われる

 

視聴者に読解力を求めすぎているため、いまいち集中できない。

 

しかも、これくらいの設定は、いまや、ありふれている。

 

コンピュータに世界を管理させて、人類が何度滅んだことか。

 

あと見どころとしては、キャラがかわいいとか、戦闘シーンがわりとエグイとか。

 

だが、これも「まどか☆マギカ」の後追いでしかない。

 

1時間に詰め込みすぎた感じが否めない。

 

しかも、今回の記事には、まだ説明をはしょった箇所がある

 

リモは、「マザー」だとか「ViOS」だとかを生み出した人たちの孫?として描写される。

 

それは、実際に血縁があるのか、それともプログラム開発者であるという表現なのか。

 

その開発者は、実は序盤でデュアルに消された世界にいた人物だとか、とにかくごちゃごちゃしている

 

だから、タイトルに「設定のバーゲンセール」、というキャッチコピーを入れてみた。

 

設定が詰め込まれているのが悪いというより、一気に説明しすぎなのが問題だと思う。

 

結末もよくわからない。世界を守るためにリモがなにかをした、という程度しかわからなかった。

 

初見で全部理解できる人いるのかな。

 

これくらい設定を詰め込むくらいなら、いっそ説明しなければいいのに、と思う。

 

どれだけ難解やねん、と思った方は、ぜひ一度「挑戦」してみてほしい

 

教訓:設定は詰め込みすぎない、一気に説明しない。

 

 


あと、やはりアイデアは既存の物事の組み合わせだ、ということの再認識。

進撃の巨人に代表される「世界の謎系」×「プログラミング」。